起業の種類は?形態や事業内容を詳しく紹介!
起業したいと思い立った時、何からはじめたら良いのか、どういうことを考えなければならないのかなど、分からずに戸惑う方も多いのではないでしょうか。
起業するにあたっては、形態や法人の種類、資金調達方法など、考えなければならないことが多くあります。
起業で成功するためには、あらゆる要素を考慮する必要があり、慎重に進めることが非常に重要です。
この記事では、起業の種類や法人の種類、事業内容の種類や資金調達の種類について詳しく解説します。
起業の2つの種類
起業形態の種類は、大きく分けて個人事業主と法人設立の2つです。
それぞれ性質や特徴が異なるため、内容を把握した上で、自身に合う形態を選ぶことが大切です。
ここでは、個人事業主と法人設立の概要について解説します。
個人事業主
個人事業主とは、企業や団体に雇用されずに個人で事業を運営する事業形態のことをいいます。
フリーランスや自営業とも呼ばれており、何かしらの事業を行い、継続的に収入を得ている場合は個人事業主に該当します。
開業届の提出は義務として法律で定められていますが、提出しなくても罰則はありません。
しかし、開業届と合わせて青色申告承認申請書などを提出することで得られる恩恵が多いため、提出するに越したことはありません。
個人事業主は、働く場所や時間は決まっておらず、柔軟に働くことができるメリットがあります。
また、個人事業主は青色申告を利用することが可能であり、特別控除に加え、幅広い項目を経費として計上できるため、税金を安く抑えられます。
ただし、国民健康保険や国民年金などは全額自身で負担する必要があり、企業や団体に雇用されている時に比べ、負担が大きくなってしまう可能性があります。
事業内容にもよりますが、収入が安定しないことも想定されるため、起業する際は慎重に検討することが大切です。
法人設立
法人設立は、起業するにあたって最も一般的な起業形態です。
株式会社が一般的に広く知られていますが、ほかに合同会社、合資会社、合名会社があります。
近年では合同会社を選択するケースが増えてきており、法人設立も多様化している傾向にあります。
4つの法人形態のそれぞれの特徴は以下の通りです。
株式会社 |
|
---|---|
合同会社 |
|
合資会社 |
|
合名会社 |
|
上記からもわかるように、法人設立時の選択肢は多いです。
しかし、それぞれにメリットとデメリットがあるため、起業する際は自身の方針に合わせて最適な形態を選ぶことが大切です。
法人の3つの種類
前述したように、法人には株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類があります。
これらはあくまで法人形態であり、法人の種類としては営利法人に分類されます。
営利法人のほかに、非営利法人と公法人があり、それぞれ異なる法人形態をまとめています。
ここでは、営利法人と非営利法人、公法人の概要を紹介します。
営利法人
営利法人とは、事業で得た利益を社員や株主に分配することを目的とした法人のことをいいます。
一般的に会社と呼ばれるものが営利法人であり、前述した株式会社、合同会社、合資会社、合名会社が含まれています。
非営利法人
非営利法人とは、営利法人の反対であり、出資者や職員への利益分配を目的としていない法人のことをいいます。
勘違いされがちですが、非営利法人はあくまで利益を分配しないことが目的であって、利益を出してはいけないというわけではありません。事業を存続させるためには、必ず利益を出す必要があります。
営利法人とは異なり職員への給与は利益の分配ではなく、活動収益の経費として支払われることが特徴です。
非営利法人に分類されうる法人形態は以下の通りです。
- 【組合】
-
- 協同組合
- 管理組合
- 【法人】
-
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 公益社団法人
- 公益財団法人
- NPO法人
- 宗教法人
公法人
公法人とは、国または公共の業務を行うことを目的とした法人のことであり、行政が設立することができます。
公法人には以下の法人形態が含まれています。
- 地方公共団体
- 独立行政法人
- 特殊法人
地方公共団体は、地方自治法に基づき運営されており、一定地域の統括を行う法人です。
一方で、独立行政法人は各府省の政策実施部門から独立した法人であり、より効率的な運営を目的として設立されました。
特殊法人は、経営の自主性が認められた法人であり、国による監督を受けながら能率的な経営を行っています。
起業時の事業内容の9つの種類
日本政策金融公庫によって発表された「2022年度起業と起業意識に関する調査」によると、起業時の事業内容は主に9つに分類されます。
ここでは、それぞれの事業内容について解説します。
個人向けサービス業
個人向けサービス業とは、個人に向けて物ではなくサービスを提供する事業のことをいいます。
物理的な商品を扱わないため、仕入れ作業は必要なく、在庫不良のリスクがないことが特徴です。
提供するサービス内容によっては店舗を設けなくても起業できる場合があるため、初期費用を最小限に抑えられる可能性があります。
個人向けサービス業に分類される職業は以下の通りです。
- 理容師・美容師
- 家事代行
- ネイリスト
- パーソナル・トレーナー など
事業所向けサービス業
事業所向けサービス業とは、個人ではなく、企業や事業所の需要に対してサービスを提供する事業のことをいいます。
こちらも個人向けサービス業と同様、物理的な物を販売するわけではないため、仕入れ作業や在庫管理などの業務は発生しにくいです。
個人事業主でもはじめやすく、幅広い働き方が実現できます。
事業所向けサービス業に分類される職業は以下の通りです。
- プログラマー
- システムエンジニア
- ライター
- デザイナー
- コンサルタント
- 警備 など
小売業
小売業とは、物理的な物を販売することを目的とした事業のことをいいます。
起業する場合は、自身のこだわりを反映した商品の販売が行えることが一つの魅力であり、やりがいを感じる方も多くいます。
現在では、インターネットの普及により、実店舗を持たなくても小売業を始めることが可能であるため、起業しやすい事業といえるでしょう。
小売業に分類される職業は以下の通りです。
- ネットショップ
- 本屋
- 楽器店
- 八百屋
- 酒屋
- 洋服店 など
情報通信業
情報通信業とは、総務省が定める業種の一つであり、情報の伝達、情報の処理や提供、インターネットに不随したサービスの提供などを行う職業が含まれています。
一般的にはIT事業やマスメディア事業が情報通信業として知られています。
ICTの発展を支えると考えられている情報通信業は、これからの時代を大きく成長させる産業として期待されているため、今後も安定した需要があるといえるでしょう。
情報通信業に分類される職業は以下の通りです。
- 映像制作
- 出版
- 広告制作
- 文字情報制作
- ソフトウェア開発
- システムインテグレーション など
建設業
建設業とは、建設工事のみならず、工事で必要になるあらゆる事業を含めたものです。
建設業は慢性的に人手不足であるため、需要は比較的高いといえるでしょう。
しかし、建設業で起業するためには、一定の経験はもちろん、建設業許可を取得するには最低でも500万円の資本金が必要であるため、他の業種に比べハードルが高いです。
建設業に分類される職業は以下の通りです。
- 施工監理
- 設計
- 土木工事
- 内装工事
- 塗装工事
- 舗装工事 など
運輸業
運輸業とは、食品や生活雑貨、大型貨物など、あらゆる物を運搬する事業です。
自動車のみならず、航空機や船、鉄道などの乗り物を活用することが特徴であり、運搬だけではなく、物品管理を行う場合もあります。
また、運輸業は物だけではなく、人を運ぶことも含まれているため、幅広い働き方ができるはずです。
運輸業に分類される職業は以下の通りです。
- パイロット
- トラック運転手
- 整備士
- 宅配 など
飲食店・宿泊業
飲食店・宿泊業とは、客に対して調理した食べ物を提供したり宿を提供する事業です。
現在では一定の条件を満たせば、1室からでも起業することが可能であり、料金を抑えた宿泊施設の需要の高まりから注目されています。
また、飲食店についても、1人でも始めやすく、自身のこだわりを反映した料理を提供できるため、個人事業として始める方も少なくありません。
ただし、飲食店と宿泊業ともに、一定の知識や資格、別途許可が必要になるため、注意が必要です。
飲食店・宿泊業に分類される職業は以下の通りです。
- 接客
- 調理
- ハウスキーパー
- コンシェルジュ
- ソムリエ
- バーテンダー など
医療・福祉業
医療・福祉業とは、専門的な知識や技術を活かして、医療・福祉サービスを必要としている人に対して奉仕する事業です。
高齢化社会が進む現代では、需要が年々高まっており、今後も市場拡大が見込まれています。
ただし、医療・福祉業をはじめるためには、資格が必要な場合が多いため、注意が必要です。
医療・福祉業に分類される職業は以下の通りです。
- 医師
- 看護師
- 助産師
- 歯科医
- ホームヘルパー
- ケアマネージャー
教育・学習支援業
教育・学習支援業とは、学びを提供する事業のことをいいます。
幼稚園や小学校などの教育機関をはじめ、大人向けの語学スクールや塾など、幅広い事業が含まれており、地域の需要に答えることができれば安定して運営していくことができます。
実務経験や資格を持っているのであれば、幅広い選択肢から事業を選べるため、自身の特技やスキルを活かしやすい事業です。
教育・学習支援業に分類される職業は以下の通りです。
- 教師
- 塾講師
- 教授
- 語学講師
- 家庭教師 など
起業時の資金調達の5つの種類
起業するにあたって、資金調達は必要不可欠です。
資金調達方法は主に5つあり、それぞれ異なる特徴を持つため、自身にあった方法を見つけることが大切です。
ここでは起業時の資金調達方法を5つ紹介します。
融資
金融機関や公的機関の制度を利用して、起業時の資金調達ができます。
融資には審査があり、実績がない場合や社会的信用が低い場合は資金調達ができないケースがあります。
しかし、金融機関のなかには、小規模企業や中小企業の融資に対応する場合もあるため、個人事業主であっても資金調達できる可能性は十分にあります。
補助金・助成金
国や自治体の補助金・助成金を活用して起業時の資金調達ができます。
補助金では募集期間が決まっていたりするなど、一定の制限はありますが、原則返済が不要なため、起業時のリスクを軽減することにつながります。
ただし、補助金・助成金はさまざまな書類が必要になるため、手続きには一定の手間がかかる可能性が高いです。
出資
個人投資家またはベンチャーキャピタルから出資を受けることで、起業時の資金を調達できます。
出資で重要なのは、自身の事業に成長の見込みがある、社会的な意義があるなど、プラスになるようなアピールを投資家にすることです。
事業に共感できる場合や事業が成長したあとの株式売買で利益が得られると判断された場合は、出資を受けられる可能性があります。
自己資金
ある程度の貯蓄があるのであれば、自己資金で起業することができます。
自己資金の最大のメリットは、返済が必要ないことであり、利用する上での制限が一切ないことです。
起業時は事業が安定するまで時間がかかる場合があるため、返済不要という点は大きなリスク軽減になります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットを通して不特定多数の人々から資金を集める方法です。
近年では、起業時に活用する方も多く、事業が賛同できるような内容であれば、たとえ実績がない場合でも必要な資金を集められるメリットがあります。
融資のような返済義務はありませんが、多くの場合、起業後は支援してくれた人々に商品やサービスでリターンする必要があります。
まとめ
この記事では、起業や法人の種類、起業時の事業内容や資金調達方法について解説しました。
インターネットの普及や多様な働き方の実現により、起業しようと考える方が増えています。
しかし、起業するには考慮しなければならない要素が多く、計画なしに進めてしまうと事業が失敗に終わるリスクがあります。
起業で成功するためには、自身の目標や事業内容を明確にすることはもちろん、世間的な需要を把握し、安定して収入を得られるか考えることが大切です。
当サイトが運営する「起業の窓口」では、起業や開業、独立、副業をしようとしている人に向けて役立つサービスを展開しています。
起業を検討しているけど必要なサービスをどう探せばよいか迷っている方、事業拡大に向けて新たなサービスを探している方に向けて、起業前のサポートから起業後のマーケティングまでワンストップで支援します。
また起業の窓口経由でサービスにお申し込みいただくと、お得な特典も受けられます。
まずは無料会員登録をしてピッタリなサービスをぜひ探してみてください。
- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。